旭東ダイカスト

旭東ダイカスト

創業100周年に向けて

日中分業体制で新たな価値創造に挑戦

CHALLENGE OF CREATING NEW VALUE

日本でダイカストの工業化が進展したのは昭和初期の1930年代。 その黎明期である1932年に、東京都大田区で旭東ダイカスト工業所は設立されました。 創業者の福永清は、巣のない製品づくりに取り組み、耐圧部品向けダイカストで事業の礎を築きました。
1973年、二代目社長に就任した山森一男は、工場を新設して事業を急速に拡大するも、バブル崩壊の時期と同じくして政府主導による北海道の苫小牧東部工業団地への投資が頓挫し、 金融機関破綻のあおりを受けて経営危機に陥りました。 北海道から撤退し、首都圏(東京・埼玉・神奈川)にあった工場を統廃合するなど 「捨てる・削る・止める」の抜本的な事業改革を断行し、「創る」ために体質強化を図ったことで 収益3倍強の驚異的なV字回復を果たしました。
新たな成長市場を見込んで、早期に中国へ投資を行うとともに日中一体経営方針として、 モノづくりはヒトづくりとして始まった海外技能実習生の受け入れによる人材育成と技術移転を積極的に推進しました。 日本国内では、先進的な技術開発と少量多品種短納期で高付加価値なモノづくりを、 中国では金型から鋳造・切削・加工・含浸・鍍金・塗装まで多工程一貫生産による量産で日中分業体制を確立しています。
第一次投資では、合弁で設立したIKDが2017年に上海株式市場へ上場し、 さらにはメキシコへも進出して世界でもトップクラスのダイカストメーカーとして躍進を続けています。 第二次投資では、独資で設立した旗艦工場KSMPを立ち上げた山森勝利が帰国して2015年に五代目社長に就任しました。 役員人事も新たに若返りを図った新体制がスタートしました。 さらなる品質改善と生産管理能力の向上を積極的に推し進めるとともに、 産学官連携によるマグネシウムを用いた耐圧部品の量産化を目指すプロジェクトにも着手しました。 マグネシウムは、最後の軽量金属としてEV化が進む自動車産業でも関心が高く、難易度の高い耐圧ダイカストで培った技術で実用化に加えて、マグネシウム特有の耐蝕対策として新たな表面処理技術の開発を目指しています。


事業概要

耐圧部品ダイカスト

難易度の高い空圧機器部品向けダイカストに取り組んでいます。
空気圧制御技術とは、空気を動力源として、機器を自動化(オートメーション)する技術です。 主に人間に代わって働き続ける設備や装置(生産ラインや製造装置、産業用ロボットなど)に組み込まれ、 あらゆる産業・業種のオートメーション化で利用されています。空気圧制御機器は、空気の力と流れを利用して 人間の代わりに作業を自動化する機械に部品・ パーツとして組み込まれています。 高真空鋳造や層流ダイカストを極め、T6処理の安定化を目指すほか、油性離型剤の実用化推進で 金型寿命の3倍増や電動ダイカストマシンの導入で難易度の高い空圧機器部品向けダイカストに取り組んでいます。

少量多品種短納期

多次元的な連携体制で多様なニーズに応えています。
弊社が取り扱う製品は約3700アイテム、保有管理する金型は約1,000近くに及びます。 少量多品種にも対応する金型交換は、月200回以上。熟練スタッフがマシンの細微な調整や状況に応じて試作・量産を行います。 鋳造を終えた金型は、専門のメンテナンススタッフが整備を随時実施して、金型寿命の延伸と品質保持に努めています。 また、数多い製品の保管管理も徹底しており、3拠点の倉庫と20以上の協力工場を多次元的に連携して多様なニーズに応えています。

多工程一貫生産

QCDの高次元なサービス実現を目指しています。
中国工場では、金型から鋳造・仕上・加工・含浸・鍍金にいたるまで、多工程一貫生産体制で高効率化を追求し、 品質・納期・コストで究極の顧客サービスを目指しています。また、設計提案から納品までワンストップサービスを実現しています。 前工程への素早いフィードバック対応が可能となるため、生産ロスも少なくなるだけでなく、卓越したトレーサビリティも実現しています。 また、物流や加工スケジュールの調整などによるロスタイムをなくすことで納期を短縮し、コスト低減にも大きな成果があります。

日中分業体制

日本の高付加価値製品と中国の量産で日中分業体制を確立しています。
長年にわたる技能実習生受け入れと日本語教育、積極的な技術移転により、中国工場では日本の品質管理による量産体制を行っています。 日本の少量多品種に対応した付加価値の高い製品づくりと、中国工場の多工程一貫生産による量産で、日中分業体制を確立しています。

技術開発

鋳造解析システムを使用し、今までの「経験と勘」を「数値化と可視化」にすべく、高真空ダイカスト法に特化した鋳造流動・凝固シミュレーションを開発しています。

工程分業

国内では長年にわたる協力会社とのコンソーシアムにより工程分業することで、技術の高度化を推進するとともに、よりいっそう付加価値の高い製品づくりに取り組んでいます。


鋳造加工




技術開発

戦略的基盤技術高度化支援事業に採択

マグネシウム合金を用いた電動カーエアコン用コンプレッサー部品の量産技術確立を目指した開発プロジェクトは、 経済産業省の戦略的基盤技術高度化支援事業、通称サポインに採択されました。 コンプレッサー部品のマグネシウム化は、強度や耐摩耗性、耐熱性など克服すべきハードルが高く、これまで世界でも成功例がありません。 自動車の場合、エアコンによる燃費ロスが大きく、電気自動車であれば内燃エンジンの排気熱が使えないため暖房にも燃費ロスが著しく生じることになります。 つまりエアコンの燃費ロス対策は、燃費改善に大きなインパクトを与えます。機械の摺動部を軽くすると稼動にかかるエネルギーは小さくて済みます。 素材1gの軽量化は車体を100g軽量化したのと同等の燃費改善効果が得られます。 マグネシウム化の効果は、現行のアルミ合金製よりも30%以上の軽量化が可能であり、最大10~15%相当の燃費改善が見込まれています。 旭東ダイカストは、耐圧性が求められるコンプレッサー部品を数多く手がけており、世界初のMg化実用に向けてたゆまない研究開発を行っています。


産学連携による共同研究開発

東海大学大学院総合理工学研究科総合理工学専攻の柏原侑輝さん(指導教員=砂見雄太准教授)が、2020年11月にオンラインで開かれた 日本設計工学会主催の国際学会「International Conference on Design Engineering and Science 2020」で Best Student Paper Awardを受賞。 これを受け、共同研究に取り組む旭東ダイカスト株式会社の山森一男会長と山森勝利代表取締役社長、技術開発室の渡邉仁室長らが 湘南キャンパスを訪れ、柏原さんらに賞状と共同研究開発費を贈りました。 旭東ダイカストは流体工学研究室砂見准教授とは2013年から共同研究に取り組んでおります。 マグネシウム合金ダイカストにおける流動・凝固シミュレーション解析を主に、耐圧部品ダイカスト技術工場に向けた取り組みを進めています。

鋳造解析システムを使用し、今までの「経験と勘」を「数値化と可視化」にすべく、高真空ダイカスト法に特化した鋳造流動・凝固シミュレーションを 開発しています。蓄積された弊社の経験と勘の技術を数値化と可視化した技術として標準化し、かつ過去に対策できなかった課題に対して、 多くのパラメータを最適化した計算によりこの技術を水平展開します。ダイカスト流動・凝固シミュレーションを行うに際しては、多くのパラメータ、 物性値を設定しなければなりませんが、その多くは既知のデータから推測した数値を使用しており、そのため、実際とは異なるシミュレーション結果が 出るケースが多々あります。そのような問題に対処するため、弊社の本事業では金型内の溶湯挙動の実測を行うことにより、そのパラメータに最適値を 設定できるようにしています。金型内計測では、実際の射出の0.1秒の間に金型の中に入ってくる圧力・温度などを計測する、かなり難易度が高い計測です。 さらに、本シミュレーションには真空吸引による溶湯の流れも可視化できるようにして、今後開発を進める耐圧性マグネシウム合金にも対応できる仕様としています。

スリーブ加熱方式によるマグネシウム合金ダイカストの機械材料特性の向上/研究論文

コールドチャンバー型ダイカストにおいて、スリーブに投入したマグネシウム合金溶湯は冷却されて金型ゲート通過時には50℃以上温度低下 することがわかりました。対策としてスリーブに加熱装置を取付け、溶湯温度低下幅を減少することによる ダイカスト鋳造方案にて試作を行ないました。その結果、湯流れ性の向上、金属組織の緻密化が計られました。
詳細内容は、下記の研究論文をご参照してください。

設備一覧

設備一覧

鋳造設備(全機真空装置付)

ダイカストマシン|東洋機械|DS-350EX|全自動1台
ダイカストマシン|東洋機械|DS-350|全自動1台
ダイカストマシン|芝浦機械|DC-350R-H|全自動1台
ダイカストマシン|東洋機械|BD-250V4-T|全自動1台
ダイカストマシン|芝浦機械|DC135-J-MS|全自動2台
ダイカストマシン|芝浦機械|DC250-J-SC|全自動2台
ダイカストマシン|芝浦機械|BD125V4-T|全自動1台
集中溶解炉|メイチュー ニューホーメル炉1台
アルミ溶解保持炉|真岐興業/北陸テクノ10台
吸引式金型温度調節機|レイケン2台
真空装置|ダイエンジニアリング1台
減圧装置|真岐興業8台
金型内計測装置|自社製(KVDC)1台
油圧プレス|三恵機械・他6台
研掃機|日神金属(ドラム)1台
研掃機|ニッチュー(ハンガー)1台
搬送トリベ|自社製2台
Mg溶解保持炉|TOKAI1台
金型冷却ジェットクールシステム|アーレスティ1台

金型工作設備

ラジアルボール盤|大矢製作所5台
普通旋盤|江黒・ワシノ1台
汎用フライス盤|牧野フライス2台
バリ取りロボット|AL技研4台
バンドカットソー|アマダ1台

検査設備

三次元座標測定機|ミツトヨ1台
3Dスキャナ型三次元測定機|キーエンス VL5001台
3D形状測定機|キーエンス VR32001台
表面粗さ測定装置|ミツトヨ1台
実体顕微鏡|NIKON1台
デジタルマイクロスコープ|キーエンス VHX50001台
分光分析機|島津製作所(亜鉛・アルミ・マグネ合金分析可能)1台
赤外線サーモビジョン|NEC/Avio1台
赤外線サーモビジョンシステム|アピステ1台
X線CTスキャナー|アールエフ1台
耐圧試験装置(30MPa対応)|自社製1台

ソフトウェア

3D CAD|クボテック1台
鋳造流動凝固シミュレーション JSCAST|クオリカ1台

協力工場設備

鋳造設備ダイカストマシン 80t~800t
ダイカストマシン(HOT)10~50t
加工設備NC旋盤
マシニングセンター
表面処理亜鉛メッキ(三価)、Niメッキ、Crメッキ他
アルマイト・クロメート処理
含浸処理真空加圧装置含浸設備
塗装塗装各種

▼検査/試作設備

三次元座標測定器

3D形状測定器

表面粗さ測定装置

電子天秤・比重測定器

硬度計

デジタルマイクロスコープ

実体顕微鏡

分光分析機

実体強度試験装置

温度調節機

金型冷却制御装置

高真空装置

金型冷却装置

アルミ溶解炉・保持炉

マグネ給湯装置

マグネ溶解・保持炉

マグネ湯導管

サーモカメラ

流動凝固解析ソフト

最適化解析ソフト

会社概要

企業理念

創業100周年に向けて前進

広く学び、深く考え、たゆまず挑戦する持続的イノベーション企業として、 2032年の創業100周年に向けた新たなる成長戦略は、技術革新とあらゆるコスト削減、 日中分業による事業の拡大、それを支える人材の育成です。 日中一体経営を基本に旭東グループの総力を結集し、創意工夫と改善を怠ることなく 市場環境に応じた経営体質の確立を図ります。

経営理念

世界の産業を担い、豊かな心と情熱を培い、価値ある未来を創造します

経営信条

団結と挑戦

企業目的

共に成長し平和な人間関係を育みます
高い品質力でお客様の安心を約束します

社訓

すぐやる、必ずやる、出来るまでやる

社風づくり

笑顔で挨拶しましょう
整理整頓しましょう
やさしさを育みましょう
感謝を言葉で伝えましょう
意見や考えを共有しましょう


会社概要

会社名旭東ダイカスト株式会社(KYOKUTODIE-CASTINGCO.,LTD.)
所在地 〒258-0111 神奈川県足柄上郡山北町向原57番地
TEL/FAXTEL 0465-75-0625(代) FAX 0465-76-4508
創業 1932年
資本金4,250万円
代表者山森勝利
事業内容ダイカスト製品及び金型の製造販売
役員【国内】代表取締役社長山森勝利
取締役/副社長小野時人
取締役専務森 雅人
監査役中野美保
【海外】 総経理野口道成
【統括】 名誉顧問山森一男

沿革

旭東ダイカストは1932年(昭和7年)創業。
巣のない高品質なダイカスト作りを目指して技術の高度化を推進しています。

1932 (昭和7年)
旭東ダイカスト工業所(東京都大田区糀谷町)設立
1946 (昭和21年)
東京都大田区下丸子へ移転
1963 (昭和38年)
山北工場(神奈川県足柄上郡)新設
1968 (昭和43年)
旭東ダイカスト株式会社設立
1980 (昭和55年)
山北工場1,500㎡増床して鋳造能力拡大、金型部門を併設
1984 (昭和59年)
嵐山工場(埼玉県嵐山町)新設
1984 (昭和59年)
真空ダイカスト鋳造(特許)開発、各工場に新装置を設置
1991 (平成3年)
東京都融合化助成事業の設備対象として真空度測定装置(KVDC)を開発、実用化
2002 (平成14年)
本社を山北工場へ移転し、東京と埼玉の工場を山北工場へ統合
2010 (平成22年)
ISO9001:2008認証取得
2011 (平成23年)
ISO14001:2004認証取得
2012 (平成24年)
カーコンプレッサー向けマグネシウムダイカスト研究開発が経済産業省の戦略的基盤技術高度化支援事業に採択
関連団体
1995 (平成7年)
上海旭東圧鋳有限公司(KDS)設立 - 中国上海 -
1995 (平成7年)
寧波国合旭東精密圧鋳有限公司(IKD)設立 - 中国寧波 -
2009 (平成21年)
寧波旭東表面処理有限公司(KST)設立 - 中国寧波 -
2012 (平成24年)
寧波旭東新盛汽配有限公司(KSMP)設立 - 中国寧海 -
2017 (平成29年)
旭東山森(寧波)文化発展有限公司(KYEC)設立 - 中国寧海 -
2021 (令和3年)
一般財団法人山森記念財団 創設 - 富山県氷見市 -
2022 (令和4年)
山森宏善(成都)文化発展有限公司 設立 - 中国成都 -

アクセス

品質・環境・安全・倫理への取り組み

SDGs(Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標)とは、国連サミットで採択された国際目標で、 経済面、社会面、環境面の幅広い課題の統合的な解決を目指すものです。 創業100周年を目指して、SDGsを事業運営の指針として重視しており、ESG(環境・社会・ガバナンス)経営に加えて、 品質と安全を重点事項として取り組んでいます。


品質への取り組み

私達は、個々の役割と責任を認識し、技術の向上と要求事項に適した品質マネジメントシステムの継続改善を図り、 顧客から信頼される製品を提供します。

基本方針
当社は相互信頼の基に、人格の向上と技術革新を基盤とし、高品質の製品を顧客に提供することにより社会に貢献します。

人格育成の方針
当社は業務に従事する要員を「創造性を持った技術集団」にふさわしい人材を育てるため、社員各自の積極的な資格取得を 奨励した教育訓練を実施しています。

目標
製品の品質向上を目指し、効率的な生産管理と生産技術能力の向上を重点に教育訓練を実施しています。

環境への取り組み

最新の電動式ダイカストマシンを導入し、従来機器比で70%の電力消費を低減しているほか、作業やシステム設計を随時見直し更新しています。 また、20kw級の太陽光発電導入や中国工場においても省エネ設計に取り組んでいます。

基本理念
旭東ダイカスト株式会社は、相互信頼の基に環境問題への対応を最重要課題の一つと認識し人格の向上と技術革新を基盤とし、 高品質の製品を顧客に 提供する事により事業活動を通じて、以下の行動指針に取り組みながら環境保全に貢献し、 地球環境を健全な状態で次世代に引き継ぐ活動を行います。


行動指針

  1. 従業員及び工場で働く人の、全員参加による環境保全活動により、地域社会から信頼される企業を目指す。
  2. 環境に関する法規制、地域との協定、業界指針等の要求事項を順守はもとより、独自の自主管理により、環境汚染の未然防止に努める。
  3. 環境負荷の継続的な改善を図る為に、環境目的及び目標を設定し、定期的に内部監査の実施及び環境マネジメントシステムの見直し、改善に努める。

重点施策
● 省エネルギーの推進
● 製造工程の管理による製品歩留まり率の向上
● 廃棄物の削減及びリサイクル化の推進


安全への取り組み

事故や災害のない操業は、従業員を守り、顧客への供給責任を果たすために極めて重要であると認識しています。 防災訓練や計画的な社内研修、リスクアセスメント、職場環境の改善や健康促進のための施策など、安全で快適な 職場環境の維持向上に努めるとともに労働災害防止を積極的に推進しています。

安全衛生方針

「労働安全は事業活動の原点である」という考えのもと、安全最優先で従業員の労働安全の確保に努め、安全衛生関連の諸法令の遵守の徹底を継続していきます。
1.働く人々が安心できる、安全で衛生的な職場環境の向上に努め、労働災害防止を図る。
2.労働安全衛生法その他関係諸法令、社内の安全衛生管理規定を遵守する。

研究不正防止への取り組み

コンプライアンス推進
企業倫理と法令遵守、公正な事業活動、会社財産および情報資産の適切な管理、社会への貢献活動を推進しています。

研究活動の不正防止
当社は、文部科学省が定める「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」に基づき、 研究費の不正使用を防止し、運営・管理するための様々な取り組みを行っています。


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